
映画館で「マルモイ ことばあつめ」を観てきました。
ユ・ヘジンさんとユン・ゲサンさんの主演ということで楽しみにしていた作品です。

↑の写真は韓国版のポスターですが、どちらもいいですね〜。
「マルモイ ことばあつめ」(原題:말모이)
2019年公開 ※日本公開は2020年
監督:オム・ユナ
出演:ユ・ヘジン、ユン・ゲサン、キム・ホンパ、ウ・ヒョン、キム・テフン、キム・ソニョンなど
オム・ユナ監督は、1980年に起きた民主化運動、光州事件を描いた「タクシー運転手 約束は海を越えて」の脚本を手がけた方。「タクシー運転手」でもユ・ヘジンさん、いい役でしたね。
「マルモイ ことばあつめ」は、1942年に起きた朝鮮語学会事件を基にしたフィクションです。
舞台は1940年代、朝鮮語の使用が禁止され、名前さえ日本式に変えることを強いられていた日本統治下の京城(いまのソウル)。失われつつある自国語を守るために朝鮮語辞書の編纂に命を懸ける朝鮮語学会を描いています。簡単なあらすじだけで、日本人のわたしたちにはちょっと重いテーマだということが想像できると思います。

朝鮮語が弾圧されている時代。もちろん辞書作りも容易ではありません。
朝鮮語学会は、朝鮮語の書籍を扱う書店を装い、秘密裡に辞書の編纂を進めています。

朝鮮語学会の代表、リュ・ジョンファン(ユン・ゲサン)。
これまでに観たユンゲサン作品で一番好きな役柄だったな〜。
尊敬していた父親が時代に流され親日派となっていたという苦悩を抱えながら、
自らは自国語を守るべく、辞書編纂の旗振り役を担っています。

朝鮮語学会に雑用係として雇われるキム・パンス(ユ・ヘジン)。
ユヘジンさん、大好き。ユヘジンさんが出ているだけで、その映画は面白いに違いないと思ってしまいます。
どんな役でもバシッとはまる名優ですが、こういう役はまさにぴったりでした。
パンスは中学校に通う息子と幼い娘を一人で育てるために、盗みも厭わない前科者。
文字の読み書きができない非識字者ですが、口は人一倍達者。
刑務所で知り合った朝鮮語学会のチョ先生の紹介で語学会で働くようになります。
ジョンファンのカバンを盗んだことがあるため、目を付けられて初めの頃は衝突ばかり。

雑用係とはいえ、朝鮮語学会で働くためには文字の読み書きが必要です。
そこでパンスは文字を覚えることに。
最初は「カネにならないのに、どうして言葉なんて集めるんだ」と言っていたけれど、
徐々に言葉の大切さを理解し始めます。

語学会の人々の真剣な姿勢に共感をもつようになり、積極的に辞書作りに関わるように。
しかし辞書作りはスムーズに進むわけはなく、政府の弾圧が強まっていき…。
ネタバレになるのであらすじはここまで。
わたしにとって、感想を書くのがちょっと難しい作品でした。
日本統治時代を描いた作品なので、出てくる日本人は憎むべき存在として描かれています。
そうなるのは当然でしょうが、やはりわたしは日本人。
「マルモイ」に限らず、独立運動を題材にした映画は
いろいろなことを考えてしまい、なかなか入り込むことができません。
この時代、日本が朝鮮半島で行ったことが朝鮮の人々を苦しめたことは事実でしょう。
思想的な偏りはない方ですし、反省すべきことだ思っています。
でも描き方のどこかに救いがあればと思ってしまうというか…。
これまでと同様に、この作品を観てもそう思いました。
「映画だ」と割り切って観ればいいんでしょうけどね。難しいところです。
しかし、そういった心の痛みや葛藤を感じながら観るべき作品だと思います。
時代の背景や実際に起きた事について知り、考えるきっかけにするために。
わたしはこれまで近現代の日本と韓国の歴史をよく知りませんでした。
日本史を学んだのは中学までだったので、教わった記憶もほとんどなく。韓国の歴史となればなおのこと。
でも、さまざまな映画を通して韓国の近現代史、また日本との関係に興味をもつようになり、
気になったことを調べては考えをめぐらせています。
韓国の歴史については本当に知らなかったことばかり。
これまでの韓国の歩みを知ることで、理解できなかったことも少しだけわかった気がします。
日韓関係については難しい問題が多いので双方の見解がまったく違うこともあり、
わからないことだらけですし、自分の考えが見いだせていない分野もあります。
でも日韓の友好を願う者としては、習っていない、知らないで済ませてはいけないと感じています。
文字を知らなかったパンスの世界が、読み書きを通してどんどん広がっていったように、
知ることで見えてくるものがきっとあると思っています。
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いつになく真面目に語ってしまいましたが、わたしの「マルモイ」楽しみポイントを。

まず、助演の方々!「朝鮮語学会」の面々はみんな知っている俳優さんでした。
左から、
チョ先生役のキム・ホンパさん。「工作」での役が一番印象に残っています。
ユンゲサンは飛ばして…、
ミン・ジヌンさんは「空と風と星の詩人 尹東柱」や「金子文子と朴烈」で。
紅一点のキム・ソニョンさんは「愛の不時着」や「椿の花咲く頃」「応答せよ1988」でおなじみ。
キム・テフンさんは何で見たのだろう…と思っていたら「応答せよ1988」でジョンボンのお医者さんだった!
一番右は「1987」の悪い役や「応答せよ1988」の中年のノウル役(笑)で知っていたウ・ヒョンさん。
こうしてみると「応答せよ1988」に出てた人、多いですね。

そしてチョイ役の人たちも!みんな友情出演や特別出演のようです。
左上…長家の会長もとい、大好きなドンリョンパパ、ユ・ジェミョンさん(また応答せよ)。
右上…観る映画観る映画に出ているイ・ジョンウンさん。
左下…「梨泰院クラス」「トッケビ」のユン・ギョンホさん。
右下…「ミセン」「犯罪都市」のチェ・グィファさん。
知っている俳優さんが思いがけず出てくると、うれしいですよね。
印象がまったく違ったりするとなおさら。

そして、パンスの娘・スニ(スンヒ)ちゃんのかわいさ〜。
パンスに厳しいジョンファンおじちゃんも、スニちゃんにはメロメロ。
この子にこの台詞を言わせたら、そりゃ心を動かされるだろうと思うシーン多々です。

また、わずかながら韓国語の勉強をしている身としては、
文字を覚えたパンスが、街の看板や食堂の品書きを読み上げるシーンは
そのうれしさが共感できて、ワクワクしました。
母国語が読めないという悲しさを乗り越えたパンスとわたしを並べるのは違うかもしれませんが。
ユヘジンさん、このシャツ&ジャケットが妙に似合っています。
ということで「マルモイ ことばあつめ」、題材を知るという意味でも、ぜひ見ておきたい映画です。
わたしも配信で見られるようになったらもう一度見ようと思います。

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(おまけ)
わたしがなぜユ・ヘジン&ユン・ゲサンを楽しみにしていたかというと。
ユ・ヘジンさんが出ているバラエティ「三食ごはん 漁村編2」にユン・ゲサンがゲスト出演した時が面白かったから!
「三食ごはん」は、チャ・スンウォン&ユ・ヘジン&ソン・ホジュン派です。
これを見るまでユン・ゲサンはイ・ハニの彼氏というくらいの認識だったのですが(別れちゃったけど)、
どの出演者よりも島になじみすぎているユンゲサンにやられました(笑)。
この人が俳優って信じられないくらいフツーっぽいんです。そしていい人感が溢れ出ています。
だから演技を見なくては!と「犯罪都市」「ゴールデンスランバー」「国選弁護人ユン・ジンウォン」「プンサンケ」などを見ました。
もちろん作品の中ではカッコよくて、そのギャップがたまりません。

三食ごはん、ユンゲサン登場回の好きなシーン。
(上)見てください、この立ち姿。気合抜けすぎ。
(下)韓国の人が横座りしてるの初めて見た。みんなあぐらですよね。愛らしい…。

なんだろう、到着したばかりなのに出で立ちも島人っぽい。
ゆるゆるのパンツが芸能人のオーラを消し去るのでしょうか。

チャ・スンウォン&ユ・ヘジンのいたずらに見事にひっかかるのも最高。ホジュンも大笑い。
薪を持たされるのが一番面白かった。
ということで、GYAOやAbemaで無料で見れることがあるので(有料だったらU-NEXT)
二人の微笑ましいやり取りを見ておくと、「マルモイ」ももっと楽しめると思います!



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